2011年05月10日

メローエッジはじめました。

 久々の更新です。


【ミリブロでおなじみALOHAパッチ。左がカットで右がロックです】



 今日は、最近導入したロック加工の紹介です。


 ワッペンについては、仕上がりの美しさだけではなく、耐久性についても考えなくてはなりません。
 そのため、縫い方を工夫してみたり、プレス機を導入してみたり、ワッペンの外周にロックを掛けるためのロックミシンを購入してみたりと、仕上がりはもちろん、いかにして耐久性をあげていくかが研究も行っていました。
 特に是非ともクリアしたいものが、外周のロック加工でした。



 ワッペンの縁取りには、大きく分けて3種類の処理方法があります。


【外周加工前のワッペン】


 ひとつ目はハンドカット。
 こちらは、sacom worksで行っている方法で、生地のギリギリをハサミでカットする方法です。


【一般的なカットエッジは、矢印部分のように生地がはみ出しています。】


 二つ目はヒートカット。
 先端がカッターのようになったハンダごてで、熱を使って生地を溶かしながらカットする方法です。
 ジオン軍の武器みたいですね(笑)
 素材は熱に弱い生地に、熱に強い糸を組み合わせることになります。


 もうひとつが、ロックミシンを使って縁取りをする加工。
 専用のロック糸がワッペンの周りを包んでいるので、カット部分がきれいで、ホコリが溜まりにくいなどの利点があります。
 ミリタリー用語で言うならば、メローエッジ(メロウエッジ)とすればわかりやすいかもしれませんね。



 メローエッジについては、導入するまでに色々ありました。

 まず、一言にロックミシンと言っても様々で、ワッペン加工用の特殊なロックミシンが存在し、いまは各メーカーで生産されていないということでした。
 そんな理由で、ミシン屋さんに色々と相談しながら、数箇所に改造を加えたロックミシンを作ることになりました。

 かなり遠まわりして完成した専用ロックミシンを作っていく過程で、色々なこともわかりました。


 たとえば、ミリタリー業界で言われている「メローエッジ」の語源についてです。
 ミシン屋さんのお話によると、「メロー(mello)というメーカーのロックミシンを使った、細くて密な巻きロック」というのが、その語源になっているのではないか、ということでした。
 ちなみに縫製業界では、フリルっぽい波打った密なロック加工も、メローエッジと言うそうです。

 逆に刺しゅう屋さんでは「ロック加工」「オーバーロック加工」「縁かがり加工」「縁かけ」など業者さんによって様々な呼び名があり、統一されていないようです。

 あげくの果てにミシン屋さんに見せれば「巻きロック」と言うし、縫製のプロに言わせれば「巻きロックとメローエッジは違う」と言ったり、似たようなもんだと言ったり、わからないうちは本当に混乱しましたが、ミシン屋さんの協力により、ロックミシンの構造を学びながら専用のロックミシンが仕上がることができました。


 ロック加工(メローエッジ)については、ミシンの流通量に比例してロック糸の糸色が極端に少ない(ODなどいい色がない!)何かにひっかけると毛羽立つ(ベルクロを重ねるのは要注意です!)幅が変えられない(部品を削って調整するため)などの弱点もあります。

 耐久性を上げるつもりではあったのですが、極端に耐久性がUPするというわけでもないようで、他社製品でも耐久テストをしてみたものの似たような状況でした。
 ベルクロでこすると、ひげのように毛羽立ちます。

 でも、ワッペンのカット断面がきれいで、洗濯時にホコリが溜まりにくいのは、たとえば業務用などには最高だと思います。


【メローエッジの断面(ベルクロ付き)】



 加工にあたっては、まだまだ十分な練習が取れていないので、今は直線のみ¥150/枚でのご案内となります。枚数によって割引きできますので、詳しくはお問い合わせください。

 円形については、コンパスと呼ばれるアタッチメントがあるらしいのですが、あと一つ部品を工夫すれば、アタッチメントなしで円形もいけそうな印象でした。





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 有名になったトモダチ作戦のワッペンの影響や、作業服などにもワッペンが多く見られることもあって、加速的に忙しくなっております。

 そんな状況のため4月からお見積もりを20日ほど休止してご依頼分の製作にあたっておりましたが、まだ製作が追いついておりません・・・。
 おまけに、体調があまり優れず、こんな時期に波に乗ってもいいのだろうかと、正直悩んでしまい気も滅入っていっていた部分もあります。

 しかしながら、被災地へ向かわれる方、自衛隊員の皆様からのご依頼などもあり、私にできることで頑張らなくてはと思う次第でもあります。


 5月は船の船舶検査もあり、地獄の船底掃除も控えていますが、月の終盤からは、勤めている嫁さんが退職し、縫製の仕事を手伝ってくれる予定です。

 嫁さんはまだまだ訓練中ではありますが、先端恐怖症で針さえ触れなかったのに、ネームテープのミシン掛けなど、上手い具合に精力的にこなすなど、ほっとしています。

 また体調崩さない程度に頑張りながら、6畳の一室からより良い製品をお届けしていきたいと思います。
 そして、嫁さんの加勢により、できるだけ早く、きちんとした対応ができるようにしたいと考えています。

 今後ともsacom worksをよろしくお願いいたします。



刺繍屋としてできる事をやっていきたいと思います。

http://sacomfact.web.fc2.com/
少数少量でも低価格のオリジナルワッペン製作。
sacom works







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Posted by sacom(モソP)  at 00:13 │技術情報