2012年11月07日

またには色々と・・・

2月末に作業場を構えて早くも半年を過ぎ、おかげさまで、鬼のように忙しい毎日を送っております。

なかなか自分の趣味に時間を裂けず、一つの趣味である釣りは講師やガイドの仕事がメインで、自分の釣りはできず。さらには以前から復活したいと思っているサバゲーも、太って入らなくなったギリースーツの作りなおしと、後輩からゆずってもらったVSRのアウターバレルのゆがみに苦戦し、結果手をつけられずにいます(涙)

マルイの固定ソーコム以外で、お手軽にサイレンサーが取り付けられる固定ガスハンドガンってないものでしょうかね。可能であれば打撃音も抑えやすいヤツで・・・マルイの割り箸マガジンハードボーラーにサイレンサーをつけたものが最高でしたが、取り付けが面倒なのと、吸弾系が弱いのです・・・。


さて、最近作ったものとともに、ちょっと技術的な話を書いてみましょうね。

まず一つ目は、あの「南極観測隊」からご依頼をいただきました!
直径8cm メローエッジ


技術的にはとても難しいものではなかったのですが、マイナス数十度の世界。沖縄産ワッペンはきちんと役割を果たしてくれるか心配もありますが、担当者の方曰く「その点は大丈夫でしょう」とのことでした。
雪だって1度しか見たことがない身ですので、ドキドキの納品でした。
次は宇宙ですかね?(笑)


二つ目は、最近ご依頼が増えている、萌え系なワッペンのご依頼です。
この手の図案は、版権の問題がない図案で、エロすぎるものでなければ受付OK。
実際、こうしたワッペンを作るのも結構好きだったりします。
高さ11cm カットエッジ ベルクロ



ミリタリーではなく、鉄道ファンの方から、新幹線500系を擬人化したキャラクターで入稿いただきました。
図案の中では、日の丸の次に難しいのが女性の再現です。表情にシルエットなど崩せませんし、後々崩れないように作らないといけませんからね。
刺しゅう製品は”縮み”との戦いであり、縫った瞬間から戦いは続くのです。


最後は技術的にも最高難易度だったワッペンです。
直径10cm カットエッジ ベルクロ付


本物は部隊名が入っています。女性の瞳やタトゥー、髪の線にグラデーションなど、これでもかと技術を積み込んだものです。データ作成、縫製ともに大変ではありましたが、その仕上がりとともに嬉しいご依頼の一つでもあります。

空自にてパイロットの訓練を受けている隊員さんと、教官よりご依頼いただいたものです。
陸自のパイロット訓練中の隊員さんや、整備クルーの方からのご依頼はよくいただいたのですが、空自パイロットへ納品は始めだったのです。
パッチ・ワッペンの世界においては、「航空機」というジャンルも大きなウェイトを占めていて、実際、販売されている国内のパッチ関連書籍においては、航空関係のものが多いですね。

元々自然発生的に、副業的に趣味の延長線上にはじまった業者であり、全く知識のないところからはじめて、ついにここまで来たかと思うと感慨深いですね。


本職の皆さんからの注文が増えたことも嬉しいことですが、納品後のお客様からのメッセージ、チームでワッペンを取り付けてのお写真なども、大変な励みになっています。
仕事がたまりに溜まって、腱鞘炎で悲鳴をあげても頑張れます!

ちなみに、上記ワッペンの一般販売は一切行っておりませんので、予めご了承ください。



さて、ここからもう一つの話題について書いて見ましょうね。
サバゲーをしている友人から「今度のコンバットマガジン、パッチ特集でしたよ」との電話があり、早速入手しました。歴史等もわかり、大変参考になるものでした。実はTV関係などの撮影用にと、レプリカワッペンを以来されることもあり、時代考証などに主にネットで情報を集めなくてはなりませんでしたが、内容は大変参考になりました。

しかし1点、刺繍屋としてちょっとこれは違うのでは、というものがありました。
記述はワッペンの縫製技術に関するもので、記事には「メロウエッジの登場により、従来のカットエッジは使われていない」とありますが、実際のところは、米軍から大量に発注される「インシグニアパッチ」のみ当てはまり、全体的なワッペン製作には当てはまらないのではないかと思うのです。

刺しゅうミシンにて外周を形成し、後ほど不要部分を切り取る「カットエッジ」に対し、専用のロックミシンにより、縁かがり処理をしたものが「メローエッジ」と呼ばれています。
(工業用ミシンに詳しいミシン店の社長の話では、メロー社のロックミシンが起源とのことです)


たしかにメローエッジは、縁を包むように仕上げるため、美しい仕上がりになりますが、実は現在、メローエッジができるミシンは各メーカーが撤退しているのです。
かつてはベビーロックやペガサスなども、「ワッペンロック」という名称でミシンを作っていましたが、今は一部のメーカーが、別のロックミシンをカスタムして販売しているのみのようです。
うちのロックミシンは、ミシン店と、例のサバゲーをしている友人(機械製造が専門)の協力を得て、改造して作ったものです。

この現状と比例して、現在ワッペン用ロック糸を作っているメーカー、または、扱っている色についても絶版となっているものが多々あります。
ワッペン用ロック糸は極太バサバサで、縫ったあと広がるようになっています。流通しているのは20色程度のようで、残念ながらODなど欲しい色、絶妙な色が手に入りません。
他の糸を流用するという手もあるのですが、やっぱり専用のワッペンロック糸はキレイです。

米軍のインシグニアパッチのように、大量に使うのであれば業者に染色を依頼するという手もあるのですが、予算やロットの都合上そういうわけにはいきません。

メローエッジが少なくなっているもう一つの原因に、カットエッジの方法があると思います。
誌面では紹介されていませんでしたが、カットエッジにも2種類あり、従来のハサミを使用したハンドカットと、ハンダゴテに刃がついたようなヒートカッターで切り落とす、文字通り「ヒートカット」があります。
ヒートカットは熱に弱い素材と、熱に強い外周糸との組み合わせによって成り立つもので、耐久性があがらないのでsacom worksでは使っていないのですが、複雑な形でもちょっとの練習でかなりキレイに切り取りできるので、ワッペン製作業界では縁処理のスタンダードになりつつあるようです。
形状を選ばず安い機材でできるヒートカットは、小ロットのミリタリーパッチなどではよく見かけますから、コンバットマガジン誌にある「カットエッジは使用されなくなっている」というのは誤りであると、刺しゅう屋的には思ったりします。


最後に、sacom worksのカットエッジは、「ハンドカット」にあたります。専用のはさみで縁ギリギリのところから不要部分を切り落としてしまいます。
ハンドカットについてですが、今までのハンドカットのイメージとはちょっとかけ離れていると思います。この手法は偶然に偶然が重なったもので、今思い返してみると一般的なハンドカットよりかなりギリギリのところで処理しています。

元々全く素人のところから始めた刺しゅう屋なので、「たぶんこうして切っている」と見切りをつけてはじめたカット方法なのですが、色々検討した結果、ハンドカットも優れているのではないかと思うようになっています。

あまりお勧めしませんが、耐久性について気になる方は、メローエッジのワッペンにベルクロのオスをあてがい、ガサガサっとやってみてください。アフガニスタンで活動する特殊部隊もビックリなヒゲができあがります(笑)前にSATマガジンにてジブチに展開する第一空挺団が紹介されていた最、メローエッジの部隊パッチの縁がヒゲのようにほつれている画像があり、参考になると思います。

ヒートカットも熱に強いレーヨン糸を外周に使うので、同じ現象が起きるかもしれませんし、昔のカットエッジはギリギリのところで切っていないので、同様にヒゲ(これは糸ではなくはみ出た生地がほつれる)ができると思います。


うちで作っているカットエッジ(ハンドカット)は、こういうヒゲができにくくなっており、つまり耐久性はメローエッジを凌いでいると思います。藪に入ったり、地面を張ったりするサバゲーや本職の自衛官の皆さんには、特に最初に痛む縁の耐久性は重要であり、もしかすると何が何でもメローエッジがよいというわけではないと思うわけです。


【右:メローエッジ、奥と左はカットエッジ(ハンドカット)】


sacom worksハンドカットは企業秘密的な部分もありますので詳細は控えますが、練習と専用のハサミが必要です。sacom works唯一の従業員である妻もだいぶ練習して、このハンドカット処理ができるようになりましたが、ハサミを探すのが一苦労。
今使っているハサミがダメになったら、もしかすると特注で作ってもらわなくてはなりません。

現在は改良を加え、洗濯時にホコリを拾いやすい(かなり細かい毛羽立ちが残るため)という弱点はありますが、サバゲーチームパッチだけではなく、自衛隊員のお客様にも、こだわりがなければsacom worksカットエッジをお薦めしていますよ。






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Posted by sacom(モソP)  at 16:04 │技術情報