2013年10月27日

萌えミリパッチを作る(その2)刺繍の条件とデザイン作成

 こんばんは。
 がっつり飲みに行ったら、色々疲れて帰ってきて、一日をつぶしてしまったsacomです・・・
 昨日の記事の続きを書いてみます。

萌えミリパッチを作る(その2)刺繍の条件とデザイン作成


 なお、技術的にも苦労する「萌えミリパッチ」を作るというテーマです進めますが、全体的なパッチデザインに通ずる手法ですので、これからパッチを作りたい、デザインしてみたいという方は、是非ともご一読いただければと思います。

 また、刺繍店には統一した技術というのはなく、それぞれのショップで得意不得意や独自のテクニックなんかもありますので、あくまでも参考ということにしていただければと思います。

 さて、パッチ・ワッペンのデザインにあたっては「実はデザインありきではない」というお話をさせていただきました。
 具体的に言うと、下記のような制限があり、これらを踏まえたうえでデザインしていきます。
 制限が多すぎて大変ですが、これを踏まえるとかなりスムーズかつ納得のいくパッチに仕上がりやすいです。

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(1)作りたいサイズを考える。実用サイズで考えるなら10cm以下。

(2)ホツレ止めをするために縁取りが必要で、3~4mm幅あるとキレイにできる。

(3)大きくなるほど再現性が高くなるが価格も高くなり、小さくなるほどコストダウンできるが再現性が低くなる。

(4)刺繍面積を減らし、ベース生地を露出させることでコストを下げられる。ベース生地は基本的に1色で色数は少ない。

(5)刺繍面積が大きくなるほど変形も大きくなる。しかし刺繍部分が少量すぎても、模様に偏りがある場合全体的に変形しやすくなる。

(6)線の太さは1.0mm以上あると滑らかな線が再現でき、それより細いと角ばった線になる。

(7)(6)の制限を考えた場合、ゴシック体のアファベットで実測5mm以上、楷書体の漢字で10mm以上(画数が多い場合15mm以上必要。

(8)グラデーションはできなくはないが、糸で再現するため、思ったような滑らかさは得られないので、グラデーションはしないほうがよい。

(9)色数が多いほどコストが高くなる。また、パーツがひとつなぎ(一筆書き)になっているほうがコストは安くなる。

(10)文字の縁取りがないほうがキレイに再現できる。文字の縁取りは「らしく」見えるが、糸と糸がかみ合ってぼやけてしまう。参考としては、スポーツ系では縁取りが好まれますが、大手ブランドのロゴには縁取りがあまり用いられていません。恐らく刺繍製品を見越したデザインになっているのではないかと思います。

(11)版権、著作権等に抵触するものは作れない(たとえば道路標識など、使用条件によってはOKのものもある)


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 今回は研究用と言うことで、サイズは大きめの直径10cmの円形で設計し、外周に3mm幅の縁取り、その内側にアルファベットの文字列が入り、その内側にキャラクターが入る形で考えました。

 なお、10cmのパッチというのはかなり大きなもので、10cm80%くらいの刺繍をしたパッチを10枚作った場合・・・

(縫製1枚2500円前後 +ベルクロ等オプション)×10枚 + 版代3000円(難しい図案)程度+テスト縫製1枚分2500円+ 送料500円+サンプル送料80円 =合計31080円
 ベルクロ代等除いても、1枚3000円以上のワッペンになってしまいます。価格の面でもお勧めできません。
 なので、あまり細かすぎないというのは大事です。

 参考までに「何センチくらいのワッペンがいいですか?」とよく聞かれますが、ずばり50平方cmくらいがコストと見栄えのバランスが取れて、また、大きすぎず装備品に合わせられるサイズです。9cm×5.5cm 直径8cmがちょうど50平方cmくらいです。


 今回は実験ということもあり、文字にせよキャラクターにせよ、大きいほうがより精密に再現することができますから、文字列の帯部分を10mmで設計し、100mm-(外周3mm+文字の列の帯10mm)×2=74mmの円形にキャラクターが概ね収まる形にします。
 74mmの円形内に、胸から頭まで書く形にすれば、表情や線のなめらかさもかなり再現できるのではないかと考えたわけです。


 次は肝心なデザインにおいては、キャラクターをどうするかという話が特に重要かとは思います。
 上記をクリアしたうえで、予め考えていたキャラクターを当てはめたりします。
 今回はキャラクターは後付けです。
 
 正直、女の子を書く作業は、顔や髪型など、好み以外の何者でもありません(笑)
 顔、髪型は完全に好みで作り、ベースが出来上がったら色々くっつけていくわけです。
 オリジナルというのが大事ですが、巷にあふれるキャラクター。どっか似てしまいます。さすがに青い髪にツインテールとなりますと、ああアレですかという話になってしまいますが・・・(汗)
本格的にキャラデザをされている方は色々学んで考えているんだろうなーと、実際作ってみて感じます。


 さて、昨日も書きましたが「キャラクターにストーリーを持たせる」ことで、単なるイラストになんとなく親近感の沸くキャラクターになるのではと感じたので、何らかのストーリーを持たせようと考えました。
 ちょっと脱線しますが、刑事ドラマ「相棒」にハマっています。脇役として登場する刑事やキャラクターにもストーリー性が垣間見られることが、このドラマを面白くしている要因ではないかと思うのです。

 ミリタリーパッチの世界でも、使われていた時代背景とか、いろんなストーリー性があります。これも魅力であり、個人レベルでオリジナルキャラクターを作るなら、何らかのストーリー性があったほうが、ないよりもずっといいのではないでしょうか。


 さて、実際に書いてみる作業ですが、sacom worksのマークになっている三毛猫スナイパー(元々は本業だった釣り船SEA SNIPERのエンブレムでした)を女の子にしたら・・・というところから、適当に図案を描いていきます。
 ちなみに、一番好きな映画は”山猫は眠らない”の1です。2でがっかりしたので、3は見ていません・・・


 なお、どんなパッチのデザインにも、イラストではなく文章なんかにもいえることですが、何度も見直しし、修正したり書き直したりするのは大変有意義なことであると思います。

 ブログ記事は基本書きっぱなしですが、地元の釣り雑誌でライターをしていたときは、最低でも10回読み直し、書き直ししていました。元の職場の上司の受け売りではあるのですが、この作業は後ほどデータを作るさいにも影響するので、適当な落書き段階で何度も書き直しします。

 イラストの書き方にはいろんな手法があろうかと思いますが、最初はテキトーです。
 すべて適当だと、いざ作るときに困ってしまうのですが、落書き程度でよいのではないかと思います。
 書いては消す、または書き直しを前提にしているためです。根詰めて書くと途中で疲れて嫌になってしまいます。
 写真のイラストは5分くらいで描いた落書き程度のものです。

 キャラクターを書いては消ししているうち、表情がよくなってきたり、または、色んなアイディアも浮かんできます。
 このパッチのデザイン中にも、色々アイディアが浮かびました。

 当初は、三毛猫マークの女の子版ということで、大好きなブーニーハットをかぶらせていたのですが、沖縄の刺繍屋仲間で業界活性化をしたいという意味もあって萌えキャラ作りをはじめることになったため、どっかに「Made in OKINAWA」と入れたい。

 メイドイン沖縄・・・めいどinおきなわ・・・メイドさん?

 というしょうもない駄洒落を思いつき、「三毛猫×メイドさん=猫耳メイドさん」に落ち着いたわけです(笑)
 また、ミリタリーパッチ屋のコマーシャル用ですから、当然ながら銃器を携行。サイレンサーは好みです。
 あと、普通のメイドさんだとミリタリーじゃないので、エプロンの生地を陸自迷彩にして、マグポーチやモールベルトなんかも配置してみます。メイドさんというベースができてから、またアイディアが浮かぶわけです。 

 予めストーリー性を持たせて書いたほうがいいのですが、書きなおしの段階で「駄洒落から生まれました」という、ストーリーも生まれたりしますから、ちょっと意識すると、より愛着あるキャラクターになるのではないかと思います。 


(つづく)

写真のパッチについては、「sacom works通販部」にて販売しておりますので、もし「欲しい!」という方がいらっしゃいましたら、通販部よりお問い合わせいただけますと幸いです。

sacom works通販部
http://sacomworks.cart.fc2.com/


sacom worksホームページ
萌えミリパッチを作る(その2)刺繍の条件とデザイン作成
http://sacomfact.web.fc2.com/




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Posted by sacom(モソの中身)  at 18:31 │技術情報sacom技研