2014年10月01日

近況&見せたくないけど刺繍はこうやって作るお話

こんにちは。最近仕事以外で忙しく困り果てているsacomです。
新規のご注文中止しておりましたが、少し余力ができたので本日より再開いたしました。

近日ホームページ移転の予定のため、また苦労しそうです・・・
サバゲー行きたい・・・

近況&見せたくないけど刺繍はこうやって作るお話




さて本日は、あまり書きたくないのですが、「刺繍はこうやって作られる」という話を書いてみようと思います。



技術的な情報なのであまり見せたくないですが、おそらくはこれをUPしたところで、そう簡単には作れないというのもあるだろうと思いますので、出せる範囲で書いております。
なぜ書きたくないことをUPしたのかというと、刺繍ってやっぱり簡単じゃないってことをご理解いただければと思うためです。
刺繍製品を作るにあたっては、単にイラストを再現するだけではなく、変形等のさまざまな要素を考えて作らなくてはなりません。

単純図案であっても、考えなくてはならない要素が想像以上に多く、さまざまな要素を考えながらご注文に沿う形で、サンプルやデータイメージを作っていきます。
(なお、データイメージは刺繍ソフトのスクリーンショットであり、別のソフトで作っているわけではありません)

サンプル等を納品したうえで、問題がある箇所の修整や微調整程度なら大丈夫なのですが、「やっぱりこれに作り変えてほしい」となりますと、仕事とはいえ、正直かなりテンションが下がることがあります。
というのも、これくらい簡単な修整だろうと考えるかもしれませんが、変形や糸の流れ、経路などを考えていかなくてはならないのです。
場合によっては殆ど作り直しというケースも珍しくないのです・・・。


今回は、先月開催されたミシン販売会の合間に、業者さん向けのレクチャーをしながら作ったパッチを例に紹介していこうと思います。


一番最初に作っていくのはアウトライン(線)です。これが一番めんどくさい作業です。

というのも、普通にイラストを描くだけでしたら一本づつ線を書き込むだけですが、刺繍の場合だと「渡り糸」という糸が出ます。
刺繍をするさいにパーツからパーツへ飛ぶときに「びょーん」と糸がつながってしまうのです。

近況&見せたくないけど刺繍はこうやって作るお話


糸をきる作業は簡単ではあるものの手がかかりますし、機材で自動カットさせればそれなりに時間がかかります。
切り口が汚くなるケースもあるのです。
なので、渡り糸が出ないように「一筆書き」となるように作っていきます。

また、線の太さであるとか糸の方向なども注意して作っていきますので、考えるべき要素は、たかが線を描くだけでもさまざまです。
失敗すれば途中から書き直ししますし、バイバス的に糸の経路を作ってつなげたりします。
あっちに流れたりこっちに流れたり、時には戻ってみたり。殆ど迷路みたいです。

作例ではメイドさんの本体と口に1本渡り糸が出るだけで、残りは一筆書きになっています。


アウトラインが出来たら、レイアー状に部品を重ねていきます。
下地のパーツ、目や口、靴など細かいパーツを作り込み、髪や肌を埋めていきます。


近況&見せたくないけど刺繍はこうやって作るお話
ベース面→文字と円の縁

近況&見せたくないけど刺繍はこうやって作るお話
耳、目、口、ブーツなどを追加

近況&見せたくないけど刺繍はこうやって作るお話
グローブ、フリル、カチューシャを追加

近況&見せたくないけど刺繍はこうやって作るお話
髪、肌、リボン、服、装備品を追加


うちのこだわりとしては、銃器は立体的に作るというのがありますので、写真等を見ながら縫い方向を細かく変えながら銃器を仕上げていきます。

近況&見せたくないけど刺繍はこうやって作るお話
銃本体と木製ストック&グリップを追加



それぞれのパーツもできるだけ一筆書きになるようにつなげ、かつ、あとに刺繍する部分でバイパス(走り縫いといいます)を隠すようにしていきます。これを考えるのもまた一苦労です。

文字一つとっても同じで、原画をトレース(なぞる)しながら、バイパス状の縫い目でつなげながら、できるだけ一筆書きしていきます。
「形」「流れ」「経路」「変形対策」など、一文字に対しても考慮しながら作りこんでいきます。


近況&見せたくないけど刺繍はこうやって作るお話
アウトラインを重ねるとこんな感じ

近況&見せたくないけど刺繍はこうやって作るお話
スタンプやリボン、縁を作って完成


こうしてできたデータをテストし、ズレを修整してサンプルが出来上がるわけです。

近況&見せたくないけど刺繍はこうやって作るお話



作る時にも考える要素が多いのですが、実際に刺繍ができるのか否かを判断するのが、見積もりの段階になります。
技術(または版権等)の問題で製作できないものは、お見積もり段階で判断させていただいているのですが、一番よいのは「作れるようにデザインしていただく」ということにあります。

実寸サイズでデザインしていただき
(1)線はできれば1mm以上
(2)文字サイズはアルファベットで5mm以上、漢字で10mm以上
(3)グラデーションはできるだけ使わない
(4)生地や糸の素材手配には限度がある
(5)チーム内でよく調整していただく


などのご注意のうえでデザインしていただければ、ご満足いただけるワッペンが出来上がると思います。


作例のパッチはsacom works通販部にて販売しております。

近況&見せたくないけど刺繍はこうやって作るお話
sacom works通販部



また、今年も航空自衛隊那覇基地エアフェスタ2014にて出店予定で、限定カラーなども販売できたらいいななどと考えています。






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Posted by sacom(モソの中身)  at 11:16 │技術情報パッチ・ワッペン製作