2016年01月04日

本年の戦略

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくおねがいいたします。

本年の戦略


さて、ことしの作戦とは・・・

昨年を振り返りますと、「見直し」の連続でした。

WEBを中心に製作受付をしてまいりましたが、刺繍ワッペン製作の分野においてはここ1~2年「激安路線」が主流になっており、そこからどう脱却していくかというのが、昨年前半の課題でした。すごいしんどい作業でした。

私も元々安売り路線ではあったのですが、かつては家庭用刺繍ミシンを並べての「刺繍屋ごっこ」的なところからはじめ、機材をそろえて現在に至っています。
当時は高級な機材と業務用と呼ばれるソフトがないと、刺繍製品は作れないという論調でした。なので刺繍製品はすごく高価だったのです。


昨年11月、大手ミシンメーカーのブラザーミシン様で、刺繍の講師を勤めさせていただくこととなりました。
これで2度目の講師の仕事で、名古屋への出張でした。

使っているソフトは、この仕事(刺繍屋ごっこ)をはじめた当時、業界からは「オモチャ」といわれていたものです。
今ではそういう事を言う業者はあまりいないのではないか?と思います。
そのオモチャで、それなりの精度で作っているわけですから。

もちろん高価なソフトは機能が充実しており、幅広い表現をすることができます。
一方、刺繍の98%は基本機能で対処ができるとも思っています。

問題は精度を確保するために、「できる事とできない事」を仕訳することにあります。

できない仕事を請けるのはしんどく、また、ギリギリのものを作って「ここまで再現してくれた」と喜ばれるなら作り甲斐もありますが、納品して文句を言われるという自体もあり、非常に残念な案件もありました。


良いデザイン=良い刺繍
では決してありません。
イラレが使えるから、いいワッペンを作れるわけではないのです。


作れる基準の中で、良いデザインを作っていただければ、それなりに良い製品を作ることができます。


今以上に価格を上げたくはないので、「作れる範囲のなかで」という条件を見直したうえで、今後のお仕事をさせていただきたいと思います。
また、お客様にもセルフチェックをしていただいたうえで、入稿いただく方法としたいと考えています。

セルフチェックの方法としては、紙に実寸サイズで、1mm幅のサインペンを使って力強く書くことです。
これで描けない字や絵は刺繍できないと考えてください。
名古屋出張で、ミシン販売店の皆さんにも教えた方法です。


完全データでないと受付しないというのは厳しい条件かもしれませんが、毎日何件もお見積もり依頼をいただきます。
枚数制限等もよく読んで入稿いただければと思います。制限等を読まないで入稿されるお客様には、失礼とは思いながらも返信しないこともあります。返信作業だけに時間をとられては、私も仕事ができません・・・。
上手く回転できる状況を作るためにも、上記制限のご確認をお願いいたします(サイトに掲載しております)


同人誌の印刷を受付している印刷所などでも、完全データじゃないと受け付けないというところがあるようですね。
(全部ではありませんが、安いところは数こなすことで利益を得るスタイルですので、条件が厳しいようです。多少融通の利くところは高くなりますし、納期が短いほど価格が高くなります)



同人誌の話になりましたが、ブログをご覧の皆さんはご存知だと思いますが、刺繍と並行して漫画を描いています
ちょうど一昨年の12月ごろにはじめ、約1年となります。
1年でよくここまできたものだと・・・





刺繍で作ったキャラクターを動かせば、絵にも性格が乗っかってきたり、オリジナルで作っているパッチも売れるのではないか。
また、先にあるような刺繍の作り方の説明を漫画で作れれば、よりわかりやすくなる(読んでくれるようになる)のではないか。

そういうところからはじめて、だんだん欲がでて(笑)、現在は沖縄の漫画サイト「コミックチャンプルー」にて、ルアーフィッシングの漫画を描かせていただいています。
月1本、第四金曜日のアップロードです。

漫画というと、原稿につきっきりで徹夜をして、こだわって作画するというイメージがありますが、自分の場合は基本手抜きです(笑)
いかに工程をはぶき、「漫画はこうあるべき」というのは無視して、できるだけ手間がかからないように作るというのがベースにあります。
漫画家ではなく刺繍屋なので作画がどうだとか、表現がどうだとかそこまでこだわっているわけではありません。徐々に勉強、研究していくという感じで、今すぐこうしようみたいなことはしません。

編集部と調整し、ネーム(下書きの下書き:調整用)の段階で色々指示をあおいで、ささっと修正してペン入れし、トーンを貼って点検、入稿という流れです。

話を作るネームは3ヶ月前くらいから練っていて、ノートに殴り書きして、落書きをベースに何度か見直したうえでペンタブで描いて、配置を調整します。
作っているマンガはいわゆる「ハウツー本」ですので、内容に間違いがあるといけないので、セリフも何度も見直しし、先に噴出しとセリフから作り込む感じになります。

ここでも見直しというワードがでてきますが、見直しは何でも大事です。

だいぶ前ですが、釣り雑誌で連載を持っていたことがあります。
文章を書く場合、最低でも7回、だいたい10回は見直しして、添削して提出していました。
いらないところを削ったり、必要な記述を追加したり、前後を逆にしてみたり。

漫画の場合も、ノートの殴り書き→ペンタブでネーム作成→ネーム編集部とすりあわせ→線画提出→編集部チェック→トーン貼りして仕上げて入稿→編集部チェックとデザイン→必要に応じて修正し校了
という具合に何度も見直しします。


刺繍ワッペンの図案もそうです。
鉛筆画で入稿するお客様の半分以上が、思いつきで描いたのかな?という絵を持ち込まれます。
そこはめんどうくさがらずに、何度も描いてみてください。
5つくらい描いたら「これ、かっこいいかも」という候補になりそうな図案ができると思います。

候補を実寸サイズで、1mm幅のペンで書いてみて、上手くいかなければ見直し。
その繰り返しで絵を固めてみてください。
いいワッペンに仕上がりますし、愛着も沸きます。
めんどくさがって途中で「これでいいや」ってなれば、それまでですが・・・

チーム内でマークを決めるときに、こだわりが強いとどこかで失敗します。
入稿しても作れない図案になってしまったとか、細かすぎて価格の高いワッペンになってしまったとか。
チーム内に絵師さんがいて、メンバーがああだこうだ口出ししすぎて進まないとか、絵師さんが疲れてしまってやる気をなくすとか(めっちゃ気持ちわかります)
こだわりが強いと上手くいかないもんで、妥協は大事だなと感じます。


あと、漫画は絵で見せるものであって文字は少ないほうがいいと一般的に言われますが、意味がわからなくなるといけないので一切無視します(笑)
また、同人誌を描いていた友人はペン入れは紙でやるべきと申しておりましたが、「こうあるべき」的なこういう主張も一切無視します。
戻ったり綺麗に消したりできるペンタブってすごい楽だし、最近から使いはじめたベクタ(イラレのような座標とベジェ曲線で書く作画)も併用すれば、修正もらくちんです。

実際のペンで書くのも興味がありますが、こういうのは時間があるときにやるのであって、時間が限られている中でやることとも思いません。
ちょっと時間があるなら、手元のあるもののスケッチ(デッサン)をしたり、そういう事に時間を使います。
基本的にペンタブにソフトという、便利なものはどんどん活用して、工程も自分が楽な形で作り込みます。こだわった絵は本職の漫画家さんや絵師さんにおまかせします。

最近買った、萌え絵を描くための本が面白く、塗りもちょっと頑張ってみたいところです。
いかに早く、それっぽく、必要な情報が掲載されている漫画を作るかが、最近の目標になっています。


以前TVで、ゴルゴ13のさいとうたかを先生が製作現場を披露されていました。そのインタビューの中で「日本画の経験から劇画調で書くことになった。面白い作品をたくさん描くことで、読者さんを満足させられる」というお話が心に残っています。

自分はあまりこだわって描いているわけではありませんが、「月1話ペースでアップロード」「今まで蓄積してきた釣りや自然環境の知識を入れる」「フィクションでありファンタジー的な要素はあるものの、釣りに関しては経験を生かして現実的に描く」とい事に関しては、強いこだわりをもっています。

基本的に編集部から「こうしたほうがいい」というのはササっと直しますが、「表現はわかるが、この釣りでこの行動はありえない」とか「これは安全管理上問題がある」「これは伝えておきたい」というのは、編集部に説明のうえ、そのままにしたり手直しすることはあります。
漫画のプロの編集部が望む表現と、釣師である自分の現実的な経験をすりあわせて、お互いに妥協をして、その時点でいい作品に仕上げる感じです。
お互いこだわりだけが強ければ、前にすすみません。

刺繍も同じで、こちらの話を聞かずに要望だけ入れられても上手くいきません。
無理なものは無理ですし、綺麗にできる方法も助言させていただきます。
助言を無視して「やっぱこれじゃない」というのは、こだわりだけが先走った失敗の典型です。
刺繍をしているのは私ですから。


仕事の割合としては、8割が刺繍、2割を漫画に裂こうと考えています。


今は刺繍の機材も安くなり、先日講習をさせていただいたメーカーの刺繍機はかなり売れています。
激安路線になるかもしれませんし、沖縄県内各所にあるTシャツ屋みたいに潰し合いが始まるでしょう(笑)
Tシャツ屋が刺繍機を購入するなんてこともありますし、絵が好きな人が事業を始めるために刺繍機を買うケースもあります。

技術的にも、単に安い業者ではなく、安くても精度の高い刺繍もでてくるでしょう。

老舗のパッチ屋のサイトもよく拝見させていただきますが、作風が変りつつあるのも、最近気になるところです。
全く素人からはじめた刺繍の仕事ですが、私も参考にさせていただくとともに、参考にされる立場にもあるかもしれません。
(今までは走り縫いを多用していた業者が、サテン縫いを多用するようになっていたりとか・・・)


正直なところ、自分の仕事として今以上に刺繍をキャパを増やすには限界があるかな、と思っています。
作れる範囲で作る。無理をしない。
一方では別の収入が欲しいなとも思っています。

事業を行ううえで、たとえば不動産収入とか株取引の収入を得ている事業主や企業は多いです。
うちはそういう財産がないので、どうやればこのような財産を作れるか。
考えたときに、知的財産という財産なら、工夫次第で作れそうだな。そう考えてみたわけです。

WEB漫画なので、ダウンロードが1かもしれないし、1000かもしれない世界です。
やり方次第で面白い展開ができるのではないかと思い、少し力を裂いてみようと考えています。
1000売るには、さらに売るにはどうしたらいいかな?というのが頭の中にあります。

もちろん面白く魅力的な作品を書くのが一番なのでしょうが、どちらかといえば「沖縄のルアー釣りを知りたい」人たち向けの漫画です。
一般的な漫画家さんだと「面白い話を描きたい」などから始まると思いますが、自分の場合は「ルアーユーザーがいる」という前提からのアプローチとなっています。
ルアーフィッシングって、実際にやるとすごく面白いじゃないですか(釣れればですが、投げる楽しみとか道具とかサバゲーに通ずるものがあります)

前にペンで描いた「サバゲースナイパー入門」も、もう一度見直ししながら清書して、「エアソフトスナイパー入門」という形でリリースしたいですね。

友人と秋ごろに開催される本土のコミケ遠征計画があって、その時までに間に合わせて作りたいな・・・などと考えています。
あと、春のVショーにも遠征したいな・・・などと考えています。


昨年の講習会でも、刺繍で萌えキャラを作りたいというディーラーさんは多くいました。
萌えキャラって形がくずせないし、印刷ではないのでちょっとした模様のズレですごく悪いもの(かわいくない)になってしまいます。
そのうち作り手も増えると思いますし、絵師さんが刺繍をしようというならば、わりと脅威ではあります。

自分は勉強中の身ではありますが「あの刺繍屋は、絵も描くし漫画も連載してるよ」ってなれば、それは一つの武器にもなります。


本年の戦略



ただ、お客様の依頼でのデザインは基本やっておりません。
自分はデザイナーでもありませんし、漫画は描いておりますが、漫画家ではありません(頑なに漫画家ではない)。

作れるデザインをいただいて刺繍化する、刺繍屋ですからね。
デザイン頼まれても困ります。

本年の戦略




Posted by sacom(モソの中身)  at 12:12