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Posted by ミリタリーブログ  at 

2015年09月23日

「ゲート イタリカ救出作戦パッチ」に見るパッチデザイン考察

こんにちは。sacom worksです。

先日「版権・著作権を有する図案について」の製作の制限についてお伝えしましたが、作品中に出てくるパッチのデザインについては二次創作と捕らえるか・・・という点についてですが、これについては現時点でNGとさせていただきます。




事例としてアニメ化された「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 」のパッチについて、技術的な部分も含めて紹介したいと思います。
版権等あると思いますので画像は乗せてませんが、「ゲート イタリカ救出作戦パッチ」でググればいっぱいでてくると思います。

なお、この考察はあくまでも1刺繍屋が、刺繍化するときにどう考えるかという考察を書いたにすぎませんので、そこのところよろしくお願いいたします。

なお、「GATE」は大変興味はあるものの、忙しくてまだ見てません・・・orz
アニメとかマンガを見る時間が少なく、他のことに廻してしまうのですが、近いうちに見てみようと思います。
(今はWEBコミックでマンガの寄稿なんかもやりますが、一部作品と床屋くらいでしかマンガを読まないという謎・・・)

その劇中に出てくる?「イタリカ救出作戦パッチ」については、同人サークルや原作者さん(これは又聞きの情報です)で製作販売した事例がるようで、sacom worksでも連日、検索ワードとして入っております。
もう一度書きますが、当該図案については版権上での問題がクリアできていないため受付できませんので、よろしくお願いいたします。




受付できないとする理由ですが、実は権利関係の確認がとれていないこと意外に、技術上の課題があります。
技術上作れなくはないですが、可愛いキャラクターが描かれているのに、技術上さほどかわいらしく作れない図案になっていると考えているためです。
具体的に言うと刺繍するには顔が細かすぎ、せっかくの表情が刺繍で再現できそうにありません。
その他は技術上可能と思いますが、顔が再現できないために、このパッチのデザインが持つ魅力も半減してしまうのではないかという印象を受けています。

あと、コスト的に引き合あいません(笑)
もし版権をクリアしたとして、1枚3千円前後はかかるでしょう。
かなり手を抜いて作れば別ですが、うちではディフォルメしてください的なものは作りたくないので、コスト安にしたいと考えるなら、どこかの激安店にさせてください。

航空関係のパッチなどにノーズアートのようなセクシーな図案のパッチが多くありますが、刺繍は糸と生地で再現する表現方法で作られていますので、線は荒くガサガサ。
これで女性の輪郭や肌を再現しているわけですから、ちょっと考えてみると「これでOKなのか・・・?」と思ったりします。

sacom worksは萌えキャラを中心に女性のキャラクターの刺繍を作る場合、できるだけなめらかに発色よく作りたいと考えています。
技術上のテクニックは書けませんが相当工夫しています。

あと、使っているうちに変形してくるので、変形対策も刺繍パッチ製作のうえでは大切なファクターです。長く使っていただきたいですから。
縫い方によっては、使っているうちに縮んだり膨らんだり、セクシーな女性が宇宙人になったりオバサンになったりもするものです。
ここまで考え、対策を考えている刺繍屋はそこまでいないと思います。

航空機は特徴さえとらえれば多少崩れても航空機に見えます。一方、女性のキャタラクターはそうもいきません。
ちゃんと作ろうと思えば、めちゃくちゃ難しいのです。


こうしたキャラクターが描かれている図案については、実は下記の方法でデザインすることで再現性や耐久性があがります。

(1)主線(アウトライン)は実寸サイズで考えたとき1mm前後、最低0.7mm必要
(2)グラデーションや影はつけない(刺繍では限界がある)
(3)できるだけシンプルに
(4)文字にフチつけないほうがいい(文字がぼやける原因になる)
(5)外周に3mm以上のフチ取り(ロック加工またはヒートカットによる端末処理のため)


また製品を作るうえではコストは絶対に関係していきます。
(3)は、コストを下げるうえでは大事な要素です。色が多く刺繍する割合が多いほど、コストが割高になります。
あと、パーツが離れている場合、糸を切って処理するポイントが増えますので、コストが割高になります。できるだけ一筆書きになっているようなデザインは、コストを下げられます。

デザイン関係全般に言えることなのですが、有名なデザイナーさんや漫画家さん、絵師さんが書いたパッチの図案だとしても、デザインありきだと刺繍製品として必ずしも綺麗に仕上がるわけではないということです。

個人的には刺繍は材料工学の世界で、土木建築に近いと考えています。
デザイン優先で柱や梁、消防設備を抜けば問題が出ます。
技術上作れないものは作れませんし、作れたとしてもコスト高になったり、設計変更を余儀なくされたりして、当初考えていたデザインからかけはなれてしまいます。

「イタリカ救出作戦パッチ」については劇中に出てくるパッチということですので、上記のようなポイントを踏まえる必要もなく、既存の刺繍パッチのような雰囲気で縫う分には十分作れる図案です。既存のパッチを見ている方がデザインされているという印象を受けます。
(※何度も書きますが版権関係がクリアできていない限り作れません)

このパッチに影響を受けて自分でもパッチをデザインしてみたい!というお客様の中にも、「ゲートのワッペンみたいにしてください!」という方が増えると思われます。
現実的に刺繍化する場合のコツとして、「キャラクターが描かれているパッチを綺麗に作るためには、一歩踏み込んでどういう形でデザインしていけばよいのか」という点を、刺繍屋という立場で考察させていただきました。


パッチのデザインのコツについては、こちらもご覧ください。

マンガで見るパッチ・ワッペンデザイン術
http://www.geocities.jp/sacomworks/designm1.html

sacom works





追伸、マンガをあまり読まないのに、なぜかWEBコミックでマンガを書くことになりました。
うちの刺繍製品から生まれたキャラクターたちが、沖縄の魚をターゲットにルアーフィッシングを極めるというお話です。
10月ごろUPされると思いますので、その時にまた紹介いたします。


  

Posted by sacom(モソの中身)  at 08:58技術情報